ストーリー画像-身に付けているものが、人や生き物を脅かしているとしたら?PFAS-FREEを一緒に実現しよう。
ストーリー画像-身に付けているものが、人や生き物を脅かしているとしたら?PFAS-FREEを一緒に実現しよう。

身に付けているものが、人や生き物を脅かしているとしたら?PFAS-FREEを一緒に実現しよう。

4月22日はEarth Day。そして4月は環境のことを考えるアクションを世界中がお祝いする『EARTH MONTH』です。この機会にKEENの環境を脅かさないものづくりDETOX THE PLANETのひとつ、永遠の化学物質とも呼ばれる「PFAS」の使用をゼロにしたKEENの取組みについて改めてご紹介したいと思います。


永遠の化学物質PFASって何?

レインウェアや、シューズに欠かせない「撥水加工」。水や汚れから大切なアウトドアギアを守り、私たちが快適で安全に過ごすのに欠かせない機能です。でもその機能が自然環境を汚染しているとしたら?残念なことですが、多くの撥水加工はそのジレンマを抱えています。撥水加工の材料となるPFASがその原因です。

PFAS(ピーファス/ポリフルオロアルキル化合物の略称)は、4,700種ものフッ素化合物の総称。フッ素と炭素が原子レベルで強く結合しているため、水や油をはじき熱や薬品に強いという特性があります。このため、こげつかない調理器具、水や汚れをはじく衣類、食品の包装、洗剤、泡消火剤など幅広く利用されていて、撥水加工もその代表格なんです。

一方その特性ゆえに環境中に流出しても分解されず長期間残るため、Forever Chemicals(永遠の化学物質)と呼ばれるほど。地下水や食物連鎖を通して人や生き物の体内に蓄積されてしまいます。その範囲は世界中におよび、北極に棲むホッキョクグマからも検出されています。

人体に蓄積されると、発ガンリスク、免疫や甲状腺機能の変化、成長や生殖・肝機能の障害、胎児の先天性欠損症や低出生体重、免疫力低下など多くの健康被害を引き起こす可能性が明らかになっています。※

PFAS(有機フッ素化合物)汚染 環境と人体を蝕む「永遠の化学物質」の規制に向けて NPO 法人ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議 篇


世界中がPFAS規制に動き出しています。

こうした危険性からすでに禁止・制限されたPFASもありますが、その残留物に加えて代替生産されたPFASも毒性が明らかになり、世界の多くの国が規制を強化しています。2009年にはEUがPFASを事実上禁止。アメリカでは2022年にカリフォルニア州やニューヨーク州が衣料品のPFASを禁止。2023年には環境保護庁EPAが飲み水に含まれるPFAS濃度の基準をこれまでの1/10まで厳しくした規制値案を公表しました。

日本でも以前から東京、大阪、沖縄の地下水から基準を上回るPFAS が検出されていました。仮に新しいEPAの規制値案を当てはめた場合、汚染エリアはより拡大することが報道されています。2023年に環境省の専門家会議が開かれるなど規制強化に道筋が見えはじめてはいますが、知見が少ないとして即座に規制強化することには消極的で、道のりはまだまだ遠いという印象です。

「発がん性疑い物質「PFAS」を追う」東京新聞

「PFASに対する総合戦略検討専門家会議について」環境省資料


2014年から始まったKEENのPFAS フリー・チャレンジ

2019年の動画より。2022年より、KEENは「PFC」表記を「PFAS」に変更しました。PFCとPFASは現在、科学者によって同じ意味で使われています。

KEENも、この問題を深刻に受け止め、2014年よりその対策に乗り出しました。まず、撥水加工の必要がないNEWPORTなどサンダルに慣行的に使われてきたPFASを廃止。それを皮切りにハイキングシューズやトレッキングシューズ他ほとんどのフットウェアの撥水加工にPFASに替わる代替物質を選択しました。

また、その過程でシューズを構成するパーツのいたるところからPFASが見つかりました。このため様々なサプライヤーのみなさんとの協力作業となり、PFASフリーと言えるまでに約10,000時間を費やしなければなりませんでした。しかしその間に150トン以上のPFASを取り除くことができたのです。

2018年以降、自信を持って「KEENシューズの95%以上が PFASフリー」であると断言できるまでになりました。

NEWPORTでビーチの波の中を歩いても、多目的で多機能なハイキングシューズTARGHEE II WPで雨の日の森を歩いても、PFASが自然の中に溶け出す心配はありません。このことは私たちにとって、ちょっとした誇りです。

サプライチェーンからPFASを排除した経緯

PFC-FREE ~「永遠の科学物質」をシューズから取り除け~


2025年までに、業界全体をPFASフリーにしていきたい

KEENはこうして製品づくりの全工程からPFASを取り除き、これを常にキープし続ける技術と運用法を開発しました。それをブランドの強みとしてその方法を企業秘密にすることもできたかもしれません。でも、「2025年までにアウトドアフットウェアからPFASフリーを」の目標を掲げた私たちは、その情報をすべてオープンにしようと決めました。アウトドアをビジネスフィールドにする仲間たちがノウハウを共有すれば、自然界からPFASを追放する時間を劇的に短縮できるからです。

それが「Green Paper」と私たちが呼んでいるドキュメント。KEENのHPからどなたでもフリーダウンロードできます。

➤「Green Paper」のダウンロードはこちら

あなたの周りにフットウェア関連の仕事をしている人がいたら、ぜひおすすめください。当初は不可能といわれたPFASフリーですが、2023年には全米最大規模のアウトドアチェーンがPFASを禁止、大手化学メーカーが2025年末までにPFAS製造停止を決めるなど、多くの企業がPFAS-FREEに向けて動き始めています。変化はいつも小さな草の根から始まります。

PFASについて、もっと知りたい方へ、PFAS汚染の実態を描いた実話映画「ダーク・ウォーターズ」(2019全米公開)を観ることもおすすめします。他にもできることはたくさんあります。下記ブログにいくつかのヒントをあります。

フットウェアだけじゃない:PFCSを生活から追い出す方法

かけがえのない自然を楽しむごとに、その自然を汚染し、人や生き物を脅かすことのないように。全ては地球と命のために、できることから始めませんか。


関連情報

DETOX THE PLANET 2025年までにアウトドアフットウェア業界のPFASフリー化に挑戦しよう

永遠の化学物質 水のPFAS汚染 岩波ブックレット

NHK報道 有害"化学物質PFAS"各地で波紋広がる

PFAS(有機フッ素化合物)汚染、環境と人体を蝕む「永遠の化学物質」の規制に向けて、NPO 法人ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議

映画「ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男」youtube配信

Related stories

雪の中をそりで滑る子ども達横顔
今年も みなさまからの “あったかい気持ち” を届けます。KEEN の Giving Tuesday。
ブランドの垣根を超えたリペアイベント「DO REPAIRS」に参加しました!
ブランドの垣根を超えたリペアイベント「DO REPAIRS」に参加しました!
LIFE IS KEEN vol.4
LIFE IS KEEN vol.4
会場で腕を上げてカメラに向かって笑顔を見せてくれる日本代表小林征郁選手
ポジティブに生きていれば、いつかいい波がやってくる。
ラフティングを楽しむみらいの森の子ども達
「みらいの森」の子ども達と一緒にラフティングにチャレンジ!
Hiker's Depotコラボレーションモデルを履いてハンモックでゆっくり
旅先での楽しみが、一気に広がる!軽く自由に歩ける「OURAY LT」登場!
私たちが「平和」のためにできる5つのこと
私たちが「平和」のためにできる5つのこと
MARCH FOR THE DAY! 気候パレードに参加しました。
MARCH FOR THE DAY! 気候パレードに参加しました。