ストーリー画像-KEEN KIDS PROJECT[ KEEN × 森のようちえん ]
ストーリー画像-KEEN KIDS PROJECT[ KEEN × 森のようちえん ]

KEEN KIDS PROJECT[ KEEN × 森のようちえん ]


ー森のようちえんを立ち上げたきっかけを教えてください。

関山「 ニュージーランドに暮らしていて、南島の北部にある国立公園でガイドの仕事をしていたんですが、2004年に日本に帰ってきました。これまで世界中の大人を対象に自然を案内するという仕事をしていて、日本に帰るにあたり、“ 自分が何に貢献できるか ” と考えたときに、これから先は子どもたちに対して、自然を共感する仕事をしていこうと思い、2007年にNPO法人を作りました。放課後の居場所ということで、最初は小学生の子供たちと自由をともにして、遊びが中心となるようなことをしていました。その活動の一環で、大自然のなかで水を沢から汲んでトイレを掘り、食事はすべて焚き火で行うような原始的なキャンプをしたんですが、焚き火を囲む子どもたちの会話がゲームの攻略法だったんですよね...。それにすごくギャップを感じて、今までやってきた活動の内容だけだと子どもたちのマインドは大きく動かないと思ったんです。そこで、小学校入学前の子どもたちに触れる機会があると、もう少し自分の思い描いているようなことができると考え、行き着いたのが保育園でした。保育園そのものに詳しくなかったのですが、子どもたちと朝から晩まで遊べるということで、無知の状態ではじめました。こういった活動を北欧では『森のようちえん』と呼ぶと聞いて、『森のようちえん』と称して活動をスタートしました 」

ー立ち上げに際して、苦労したことやターニングポイントになった出来事はありますか?

関山「 これまで常に海の近くで生活をしていたので、日本に帰るなら湘南や沖縄、北海道のような場所は僕が住むにはすごく心地が良い場所で最高だなと思っていたんですが、ちょっと待てよ...、と。自然環境が豊かなところに自分が暮らすのはいいけど、そこに住んでいる人は、すでに自然を体験しているし、そもそも子どもが少ないかもしれないと思ったんです。なんのために日本に帰るのかを考えたときに、自然に触れる機会の少ない都会の子どもたちにどのようにアプローチをしていくのか、というのが僕が日本に帰る意義があると感じました。それがターニングポイントですかね...。苦労したことは、( 横浜市 ) 都筑区に住み始めてから、習い事が多く、忙しい子どもたちが多い町だっていうことに後になって気がづいて、自分が思っている活動に共感してくれる人たちが、そうたくさんいないことがわかったんです。いわゆる早期教育というところに価値を置いていて、それが子どものためと思っている方が多く、自分の思いをぶつけてもなかなか反応が返ってこない、というのが当初はありました。最初の3年くらいは、私も友達が一人もいないような場所に住んだものですから、ゼロからコミュニティや関係性を作るのはとても大変でしたね 」

ー自然との触れ合いは、子どもたちにどのような成長や感受性を与えていますか?

関山「 “ 与えている ” っていう意識はないのですが、子どもたち自身にとって自然という環境はそもそもナチュラルなことであって、そのなかに入り、まずは身近な虫や葉っぱなどに触れて、さらに没頭していくことで、子どもたち自身も自然の一部になっていくというか....。大人だと “ 何もないじゃん ” って感じたりするんですが、子どもはそんな世界を感じて、想像するということができるんです。自然だけでなく、人と人とが感じ合うことができるので、いざこざが頻繁に起こることもないですし、何か感情的になることがあっても、子どもたち自身で解決することができます。本来人間にある『内なる自然』というか...、人間本来の姿に帰っていくというか...。人間らしい人間として本質的なものが見えてくると思います」

ー自然のなかでそとあそびを体験しないまま育っていくデメリットはどんなことですか?

関山「大人になっていくプロセスのなかで、『どれだけ外側と繋がっているか』ということはすごく大事なことだと思っています。例えば地面を裸足で踏み歩いたり、五感を使っていろいろ感じることは、自然、もっと大きく言うと地球を感じているっていうことだと思うんです。年齢が大きくなるほど繋がっていることが理解できていきます。例えば、北半球の3分の2以上はハチが受粉を媒介していることなど、自然の循環や繋がりが理解できていないと、環境破壊やお互いの国の人たちを認めあったり、平和への思いというのがあまり感じられない子が育っていくと思うんですよね。ですから、幼少期、学童期に外側の世界と繋がっているというのを感じながら、学んでいかないといけないです。現代社会もそうですが、自分本位、個人主義という生き方になってしまうことは、人間そのものの脅威になってしまうのかな、と思っています」

ー主体性を育てる保育について、大切にしていることはありますか?

関山「園児が大きくなるにつれて、私たちがすることってほとんどないに等しいんです。そのなかで、“ 見守る ” ってなったときに園児がどこかに行ってしまわないか、危険なことが溢れていないか...、そういうのを看守的に見るのではなく、おテント様のような、温かいまなざしを持って見守ることが大事だと考えています。主体性ということに関しては、何か主体性があるというよりかは、子どもたちに潜在しているものがあって、それが自ら湧き出てくるような凄さや驚きを僕らが面白く見ているっていうのがとても大切。子どもの世界がここまで面白いものだとは、この仕事をしていなかったら知らなかったと思うし、すごくいい環境で仕事をさせてもらっています 」

ー入園される方はどのような傾向ですか?

関山「『森のようちえん』という言葉をこの10年ほどで多くの方に知って頂き、遠くから入園を希望される方、移住までして通いたいという方もいらっしゃいます。親御さんの傾向としては、食や健康に非常に心がけている方、地球環境への意識が高い方などから選んで頂いています 」

ーKEEN キッズシューズについてひとこと。

関山「 まず、KEENの好きなところは、マテリアルそのものにリサイクル素材を使用していて、それをかなり前から実践し、環境に配慮したテクノロジーを使っていることが企業の取り組みとして素晴らしいと思っています。そんなKEENが、外で遊ぶ子どもたちのアイテムを増やしてくれていることは、とてもありがたいです。うちは海での活動が多く、KEENのサンダルのつま先を守るトゥ・プロテクションに関しては、以前からキャンプなどの活動に推奨させてもらっています。ケガして悲しい思い出にならないように、安全に楽しく遊べることが大切なので、私たちも愛用させてもらっています。サンダルからスタートしたKEENが、さらに日常で使える子ども用のシューズを展開し、日常生活のなかでもっとアウトドアに触れ、シューズを利用して欲しいというコンセプトにすごく共感しています。シューズは消耗品ですが愛着を持ってもらえる、汎用性の高い商品だと思います。海とか山だけではなく、普段から使える安全性の高いシューズなので、おすすめしたいと思いますね 」

ー今後の展望を教えてください。

関山 「 2つありまして、1つは、来年度からトライアルでスタートする小学校での活動、いわゆるフリースクールです。『森のようちえん』を卒園した子たちがさらに自由に、自分の興味を伸ばしていくようなことをやっていきたいと思っています。私たちが地球環境についてどんなふうに伝えるか、となったときに、勉強ではなく、体験を通して学んでいけるような活動をこれから広げていきたいです。2つめは、地球環境そのものが、この先私たちが生き続けていけるかどうかという瀬戸際まできている今、私たちができることとして、『100年先を見つめる保育園プロジェクト』というものをやっています。オーガニックの食材を使ったり、再生エネルギーの利用、さらに石油製剤を使用していないインク、再生紙、間伐紙を使用するというような試みを行っていて、こういった園が増えていけばいいと考えています。電力の契約ひとつで再生エネルギーを変えることができれば、火力発電所や原子力発電所が必要なくなる世界が、より短い期間で達成できるかもしれないですよね。保育園の子どもたちに対して実践し、次の...、さらに次の子どもたちが生きやすい環境を作るために、多くの方たちに私たちができる努力、私たちの活動に共感してもらい、手を結び、より良い地球環境について考えていきたいと思っています」

ーありがとうございました。


【プロフィール】

NPO法人もあなキッズ自然楽校
森のようちえん全国ネットワーク 副理事長
森のようちえん めーぷるキッズ 園長・理事長
関山隆一(せきやま・りゅういち)

https://morinoyouchien.org/

ニュージーランドで長年、国立公園でのガイドとして活動し、2004年に日本に帰国。子どもたちと自然を共感する仕事をしていこうと2007年にNPO法人を立ち上げ、小学校の放課後の居場所として自然に触れたり、キャンプ体験などができる活動からはじまり、2009年に子どもたちが自然のなかで主体的に過ごし、子ども自ら育つプロセスを大切にした保育園事業『森のようちえん』をスタート。“ 100年先を見つめる保育園プロジェクト ” として持続可能な保育環境の実施にも力を入れている。

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