ストーリー画像-「夜のパン屋さん」から生まれた、温かなコミュニティ
ストーリー画像-「夜のパン屋さん」から生まれた、温かなコミュニティ

「夜のパン屋さん」から生まれた、温かなコミュニティ

4月8日。東京都練馬区の静かな住宅街を歩いていくと、そこだけぽっかりと広い前庭がある瓦屋根の築150年の古民家「けやきの森の季楽堂」がその姿をみせ、そこでは、「夜パンB&Bカフェ」という名のカフェイベントが開かれていました。

 

これはビッグイシュー日本が2020年10月にオープンさせた、売れ残りそうなパンをロスになる前に引き取って夜開店する「夜のパン屋さん(https://yorupan.jp/)」が、その場所を毎月第2土曜日の昼間にうつしスタートしたイベント。KEENからも総勢10名のスタッフが参加し、シューズのチャリティ販売を行いました。今日は、このイベントのレポートをお届けします。

目次

⇨楽しいつながりから生まれる、気づき、考え、シェアする心

⇨フードロスを減らし仕事を増やす「夜のパン屋さん」の取り組み

⇨コミュニティが生まれて、支え合える社会へと

⇨KEENにできること。私たち一人ひとりにできること

 

楽しいつながりから生まれる、気づき、考え、シェアする心

広い庭には子どもたちが駆けまわり、庭に置かれたテーブルや古民家の大広間にはおいしいランチでおしゃべりを楽しむ大人たち。たくさんの方が思い思いに春の午後を楽しんでいます。 

庭の手作り野菜マルシェには、朝、地元の農家さんや東京の農家さんから集荷したとれたて野菜が並びます。「子供の頃は練馬区にも畑がたくさんあったんですよ」と教えてくれたのは販売ボランティアのイシクラフミコさん。「このイベントはご縁がいっぱい集まってくる場所。野菜を通して人とつながれるのが楽しくて毎月お店を出しています」。

古民家のエントランスでは、迎えてくれてたのは、野上隆史さんの「ゲリラストリート花屋」。普段は、不定期でカフェの軒先などにお店を開いていて、通りを歩く人や車に乗る人が気軽に声をかけてくれるのが楽しいのだとか。ご縁があり参加されたこの日も、ペイルカラーの花たちが人々の目を楽しませ、売れ行きも順調な様子。

エントランスをくぐり古い階段を上ると、天井の梁を生かしたロフト空間が。カラフルな毛糸玉から糸を紡ぎ編み物をする女性に声をかけました。「手を動かしながらおしゃべりをして。沖縄のユンタクみたいなふれあいが楽しいんです」とにこやかに話してくれたのは手芸家の岩切エミさんです。

ご近所からいらっしゃったお客様のこんな声も。

「以前からこちらの古民家が気になっていて、たまたま声をかけられていちど来たところ趣旨も気に入って、毎回来るようになりました」という女性は小さい子供たちのママ。

こうしてお話をうかがうことで気がついたのは、年齢も職業も多様な人たちがこの場でのつながりを大切にしていること。その理由はなんだろう?と思いを巡らせると、イベントの母体である「夜のパン屋さん」に行きつきました。

 

フードロスを減らし仕事を増やす「夜のパン屋さん」の取り組み 

今日の「夜パンB&Bカフェ」は枝元なほみさんと、ビッグイシュー日本が2020年10月16日”世界食糧デー”にオープンした「夜のパン屋さん」から生まれたイベントです。不思議な名前を持つこのパン屋さんの仕事は、フードロスを減らしたいパン屋さんと夜遅くパンを買いたい人をつなぐこと。

 どんな名店や老舗のパンでも営業時間内に売れなければフードロスが生まれてしまいます。こうしたパンを定価の5~6割程度でレスキューし、夜19時ごろから別の街角でお店とほぼ同じ値段で販売しています。

ここでパンの集荷や販売のお仕事を担うのが、ホームレス状態の方や仕事がなくなって困っている方たち。働いた時間や集荷した件数などをもとに給与が支払われます。

 パン屋さんのフードロスを減らし、夜のお腹を満たし、新しい仕事を生み出すハッピーなつながりが「夜のパン屋さん」なのですね。この日の販売スタッフも「夜のパン屋さん」の皆さん。この仕組みが地域の皆さんにも支えられ、この場をあたたかいつながりの場にしているのかもしれません。

 

コミュニティが生まれて、支え合える社会へと

ビッグイシュー日本東京事務所代表の佐野未来さんも「当初のお客様は、多くが〝夜のパン屋さん“を知っている方たちでしたが、回を重ねるにつれてご近所の人たちも自然と来ていただけるようになりました」とふりかえります。また「フードロスを減らしたり、リユースや支え合いに参加できる仕組みも他にもあるんですよ」と教えてくれました。

いらなくなったら捨てるのではなく、必要とする人に手渡す社会へ。困っている人を少しでも支えられる社会へ。ちょっとしたことに気づくことで、思いやる気持ちを行動に変えることができるんですね。 

「(コロナ禍がひと段落したけど)暮らしに困っている人は減っていません。外国人難民の方の困窮も心配です。同じ社会で一緒に生きている人なのに、日本は人権という言葉をどこかに置き忘れてしまったんじゃないかと思うことがあります」。

 

KEENにできること。私たち一人ひとりにできること

この日、私たちKEENスタッフも、シューズのチャリティ物販をするために参加しました。用意したシューズは150足ほど。展示会などで使用したサンプル品をチャリティ価格で販売、その売り上げの全額を、ビッグイシュー基金に寄付させていただきました。

 

KEENスタッフにも今回のイベントの感想を聞くと、

「いろんな人がつながり、協力しているプロジェクトに参加できてよかった」。

「スタッフもお客様も一緒に作っていた印象。和気あいあいとフレンドリーな1日でした」。

「子供たちも多く地域の方と触れ合えるあったかいイベントでした」と、充実した声が聞こえてきます。こうしたイベントからコミュニティが広がるんだな、という実感が湧いてきます。

ふりかえれば、この日はこの場を楽しんだすべての方で一緒に作り上げた、あたたかい一日でした。ここで生まれたたくさんのつながりから、また新しいつながりが生まれ、思いやりの輪が広がっていくのだと思います。 

KEENも秋の開催には再び参加しようと準備をはじめています。

みなさんもぜひ足を伸ばしてみてはいかがでしょうか。

■夜パンB&Bカフェ https://www.bigissue.jp/event/673/

■夜のパン屋さん Twitter  https://twitter.com/yorupan2020

■夜のパン屋さんFB https://m.facebook.com/yorupan2020

■夜のパン屋さん公式HP https://yorupan.jp/

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