<対談>伊藤圭 x 高橋庄太郎 北アルプスの秘境“湯俣”の魅力
<対談>伊藤圭 x 高橋庄太郎 北アルプスの秘境“湯俣”の魅力

<対談>伊藤圭 x 高橋庄太郎 北アルプスの秘境“湯俣”の魅力

北アルプス三俣山荘のご主人であり、一般社団法人 ネオアルプスで代表を努めている伊藤圭さんによるコラム「北アルプス 山と人と街」の第2回は、プロジェクトのひとつの拠点となっている北アルプスの秘境“湯俣”の魅力について。今回はプロジェクトのアドバイザー的な人物である山岳アウトドアライターの高橋庄太郎さんとの対談方式になります。

伊藤圭さん(三俣山荘事務所/一般社団法人ネオアルプス代表)
対談が行われたのは、カフェが併設された信濃大町の「三俣山荘図書室」。

高橋「湯俣って、あんなにすばらしい場所なのに、山好きでも知らない人が多いよね。でも、今年は相当に注目されるだろうね」

伊藤「そう! なにしろ30年以上も閉じていた“湯俣山荘”を再開するから」

高橋「圭さんのお父さんである伊藤正一さんが作った山小屋だよね」

伊藤「今年8月には本格的に営業を再開させる予定。KEENさんからは以前ショップやイベントで使っていたという什器(家具などの備品)も提供してもらうので、かなりおしゃれになるはずです」

三俣山荘図書室の内部。右が高橋庄太郎さん

高橋「湯俣がいいのは、初心者でも行けるところだよね

伊藤「登山口の高瀬ダムからは歩いて3時間弱。しかも高低差がほとんどないし、半分以上は林道と遊歩道だから」

高橋「その高瀬ダムと周囲の高山の景色、僕はあの空気感が好きなんだよ」

伊藤「たまっている水が、不思議なグリーンでね」

高瀬ダム。その奥には北アルプスの山々
途中までは、よく整備された遊歩道を使える

高橋「高瀬ダムには湯俣から流れる高瀬川が流れ込んで、高瀬渓谷を作っているわけだけど……」

伊藤「この高瀬渓谷、親父(伊藤正一氏)は“第二の上高地になる!”と言っていた。たしかにそれだけのポテンシャルというか魅力があると思う」

高橋「あの森の雰囲気ね。それと僕は川下りをしたくなる」

伊藤「じつは昨年、あのホリエモンも遊びに来て、パックラフト(膨らませて使う小型のフネ)で遊んでいたよ。湯俣では温泉にも入っていたし」

高橋「やっぱり感度が高い人は、湯俣に目を付けているんだね」

高瀬渓谷を流れる高瀬川
2人は10数年にもなる付き合い

伊藤「湯俣までの道の風景もいいでしょ?」

高橋「谷の奥に槍ヶ岳が見えてくる。この角度からの槍ヶ岳を見たことがある人は少ないんじゃない?」

伊藤「湯俣は槍ヶ岳のバリエーションルートである北鎌尾根に登る人には、昔からの通り道」

高橋「日本を代表する登山家たちも湯俣に立ち寄っていたわけだ」

伊藤「いろいろな深い歴史があるんだよ」

雪を身にまとった槍ヶ岳
増水によって毎年風景が変わる、湯俣の河原

高橋「しかしまあ、湯俣までは本当に歩きやすいよね。家族連れにもぴったりで」

伊藤「それに温泉という楽しみがある」

高橋「河原を掘れば湯船になる場所もあるし、ワイルドだよね~」

伊藤「体全体が浸かる大きさは大変だけど、足湯なら難しくないし。適温を作るのが難しいけれど、それもひとつの楽しみかな」

タイミングがよければ、河原には誰かが作った手掘りの露天温泉も
湯俣付近の地図を見ながら話しこむ2人

高橋「そんな湯俣に今年、湯俣山荘が復活するわけだ」

伊藤「もちろん泊まれるし、食事も提供して。それと、湯俣にはもともとテント場があるけれど、湯俣山荘には“ハンモック場”を作る予定なんだよ」

高橋「ハンモック場?」

伊藤「湯俣山荘の裏の木立を利用してね。休憩や遊びだけではなく、“ハンモック泊”もできるんだよ」

高橋「子供にも人気が出るのは間違いないな~」

再開に向け、工事を進める昨年の様子
湯俣山荘の内部。ここにKEENの什器が置かれる

伊藤「だけど湯俣山荘には温泉自体はないから、その場合はすぐ近くの湯俣温泉晴嵐荘を利用してもらえれば」

高橋「僕も何度も泊っているけれど、晴嵐荘もいいよね。内風呂もあるし」

伊藤「お酒も充実してるから、酒好きにもたまらないはずだよ」

湯俣山荘の対岸にある湯俣温泉晴嵐荘にはテント場もある
山を見ながら楽しめる、晴嵐荘の内風呂
このオリジナル地図は、三俣山荘図書室やネットで販売中

高橋「でも、湯俣は山小屋がある場所が最終目的地というわけではない。その奥にもお楽しみが眠っている」

伊藤「湯俣は、湯俣川と水俣川が合流して高瀬川になる場所。だから地形が複雑なんだ」

高橋「水俣川を渡ると鳥居もあって、不思議な感じがするよ」

左の湯俣川と右の水俣川の合流地点
合流点の高台には“山の神”
ネクシスエヴォミッドを愛用している伊藤さん

伊藤「でもいちばんの見どころは“噴湯丘”だ」

高橋「温泉の成分が固まってできた、巨大な物体ね。あれ、初めて見たときはビックリした!」

伊藤「国の天然記念物だからね。噴湯丘を見るだけでも、湯俣に行く価値はあるよ」

湯俣から少し進むと、湯俣川
湯俣川の北側の河原には、真っ白な噴湯丘
噴湯丘を至近距離で見物するためには、川を渡る必要がある
噴湯丘付近には、大量の熱湯が噴出している

高橋「道とは対岸にあるから湯俣川の流れが強いと渡れないけれど、少し遠くからでも、あの異形には強烈なインパクトがあるよ」

伊藤「あれ、人間の身長なんかよりも、はるかにデカいからね!」

高橋「だけど、あのあたりには熱湯が流れているから、火傷には注意しないと」

湯俣川と水俣川の合流地点にある古びた道標
槍ヶ岳へのルートでもある水俣川
山小屋の準備や新しいイベントの準備に忙しい伊藤さん

高橋「そんな湯俣で、今年は三俣山荘主催で“ゆまキャン”というイベントをやるわけだ」

伊藤「来てもらえれば、湯俣の魅力をわかってもらえると思う。早く詳細を発表したいね」

 


 

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連載コラム「北アルプス 山と人と街」
#1 山と人と街プロジェクトとは

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