歩くという同じ行為でも、
街と山では異なる感情が湧いてくる。
ラッパーであるKZさんは、それぞれからなにを感じるのか。
そして、歩くことは彼の音楽にどんな影響を与えるのだろうか。
2021年に音楽で生計を立てられるようになり、脱サラしたタイミングで結婚。新婚旅行はバンで日本一周したそうだ。その中で立ち寄った石川県の白山に登り、山頂からの景色に感動した。
「頂上に着いたら雲海が出とって、残雪期やったから、雪と黒い山肌がまだら模様になっとって。こんなに美しいもんがこの世界にあんねんなって、めっちゃ感動して泣けてきたんですよ。いくらお金積んでもこの景色って買えへんよな、みたいな。今まで自分が持ってた価値観とかが、ほんまに180°変わった瞬間でした」
リリックに想いを乗せて伝えるのがラッパーだ。10代の頃に文学や歌詞などに救われた経験のあるKZさんは言葉の力を信じてラップを続けてきたが、その景色を見た時は言葉にならない感情が湧いてきた。
「その景色を見て、『うわ、これ言葉いらんやん』って思ったんですよ。言葉がなくても感動するし、むしろ言葉がないほうが感動するやん、って。自分が信じていた言葉が無意味に思う瞬間でもあったんですよ。で、いろいろ考えた結果、身体があって、身体に何か刺激を受けて、それが感情になって、その感情を言葉にするっていうこのプロセスは、DNAというか本能というか、これを履き違えたらあかんなってめっちゃ思ったんすよね。リアルを大切にするのがヒップホップ。じゃあ、そのリアルってなにか?っていうと。自分の人生に起こったこと、つまり自分が身体でとらえたことをちゃんと感情にして、その感情を言葉にするってことこそがリアルやと思うんですよ」
山との出会いで言語化のメソッドを深く理解し、音楽に対する向き合い方が変わった。そして、山を歩くとこんな感情も湧き出てくる。
「自分は梅田サイファーのKZで、家に帰ったら田原 和で、最近子どもができたんで父親で。いろんな肩書きがあるけど、山とか自然の中を歩いてると、それがだんだんと1枚ずつめくれていくというか、最終的には、ほんまに名前すらもなくなる、命そのものだけになる感覚がありますね。下手したら自分っていう人間とか生き物とかの境界線もなくなって、自然に内包されていく。何もなくても命としてここにおっていいんやっていうのを自然の中を歩いてると、感じれる瞬間があって。命だけでこの世界に受け入れられてんねやって感覚を持つと、じゃあもっと頑張ろう、もっと自分がしたいことしようって気持ちになれるんです」
歩くことに関して、もうひとつエピソードが。20歳で出会った梅田サイファーはKZさんの居場所となったが、新天地を求めて25歳の頃に関東へ。ハードな仕事を毎日こなす中、唯一音楽と向き合えたのは、家と職場を歩いて往復する時間だった。
「職場までは電車でも行けるんですけど、あえて歩いて、歩きながら歌詞を考えるようになりました。それまでは気が向いた時にだけ考えてたんですけど、毎日歩きながら考えるようになったら、もっと書けるようになったし、たくさん曲を作れるようになったんですよ。身体が動いてる時のほうが、感情も動くんです」
歩くこと。それはKZさんの創作活動において欠かせないようだ。山と街、フィールドは異なれど、『TARGHEE Ⅳ WATER PROOF』はKZさんの足元を支える。
「包まれてる感じがすごくあるし、窮屈じゃない。特に長距離を歩く時は、つま先が守られてるか、窮屈じゃないかを気にします。長く歩いてると小指が痛くなってくることが多いんで。『TARGHEE IV WP』はそれがない。足と一体になってて、シームレスなんですよ。ハイキングシューズって重たかったり足首をがっちり固められたりして、街じゃ歩きにくい印象がありますけど、これは逆に街履き用なんかな? って思ったのが第一印象です。見た目は丸みがあって、かわいいし、優しい。なんか胸が甘くなるというか、そんな感じの印象です」
来年の2月23日に武道館に立つ梅田サイファー。その後は活動を休止する。その先、KZさんはどんな青写真を描いているのだろう。
「もっと自分の身体を通していろんなもんを見たい、知りたい、書きたいと強く思うようになりました。当然、人によっては都市で物を作る人もいるやろうけど、自分はもう少し自然のそばであったりとか、例えばそれはロングトレイルって呼ばれるものに、数日、数週間、自分の身を置きたいなと思ったり、また昔みたいに長い旅に出たいなと思ったりとか。メジャーレーベルに所属しながらそれをするのは難しい。なので、活動休止後は、少し時間がかかっても、自分の身体を通して生まれた感情を、ちゃんと誠実に言葉にし続ける。それを受け取った人がどう行動するか、他者が決めることに対して、俺は何もできへんけど、それでも身体を通したリアルな言葉は、人を動かす力があるし、その動くことによって、世界にいい働きかけができると信じてます。そして、世界には、自然が作り出した言葉にできない美しいもんがある。だからこそ言葉を尽くしきらなあかん。言葉を尽くしきった後に残る、語れないものこそが、真に美しいもの。だから自分は人生通して言葉を尽くしきりたいなと思っています」
TARGHEE IV WP
重量:530g(27cm片足)
長時間の街歩きでも山歩きでも、
快適な履き心地を叶える一足
接着剤を一切使用せずにアッパーとソールを一体成型する製法を採用し、環境負荷低減と耐久性を兼ね備えた『TARGHEE IV WP(ターギー フォー ウォータープルーフ)』。つま先全体を広げるスペースを作ることによって、フィット感と快適な履き心地を実現。幅広い用途に応えるローカットデザインは、登山やハイキングなどのアウトドアシーンに限らず、街中でも実力を発揮します。