空前のランニングブームに沸く昨今、自然の中でリフレッシュできる次なるランの形として、注目を集めているトレイルランニング。 とはいえ山にコンビニは無く、足元には木の根や石があり、初めてのトレイルランニングは自分サイズのちょっとした冒険になるかもしれません。 そこで、最初のトレイルランを楽しく、快適なものにするための、いくつかのハックをお教えします。
ハック1.トレイルランニングシューズ、最初の1足はアラウンド300g(メンズ27cm)から選ぶと◎
トレイルランナーとトレイルとの唯一の接点、それがシューズです。トレイルを快適に、かつ安全に駆け抜けるには、やはり専用のトレイルランニングシューズを履くべきです。

悪路を気持ち良く走るためのプロテクションと、軽快に走るための軽さとが高いレベルで両立されているのがトレイルランニングシューズの特徴です。その上で各シューズとも多彩な長所を備えていますが、初心者がシューズ選びに迷ったら「重量」を参考にするといいでしょう。 目安はズバリ、アラウンド300g(片足)。大抵のメーカーが27㎝前後のサイズの重さを基準値としてWEBやカタログ上で公表しています。その重さでシューズを3つに大分すると、
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~260 :軽量スピードモデル。レース決戦用、スムースな路面向け
261~300g :オーソドックスタイプ。数時間のミドル~ロングラン向け
301g~ : ロングラン向け。山岳ルートにも対応
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といったところでしょうか。 そのため、オーソドックスなタイプの中でもやや保護力が高めと言える「300g前後のモデル」を最初の一足におすすめしています。 奇しくもキーンが新しくローンチした2足のトレイルランニングシューズ『Seek(シーク)』と『Roam(ローム)』も、ともにこのあたりの数値スペックです。
『Seek』のカタログ重量は306g(27㎝片足)。
手元のメンズ26cm片足での実測値は297g。

ニットアッパーによる快適なフィット感と、弾むようなクッション性で、トレイルを楽しく快適に走れる一足。耐久性も高いとのことで、安全さと気持ち良さも長続きする。トウボックスが広いので、足幅が広めな典型的な日本人の足に合うという印象。アウトソールのラグは4mmとやや深めで、ぬかるんだトレイルでもしっかりグリップする
この2足で言うと、個人的には本格的なトレイルに行くときに『Seek』を、玄関から履いて裏山をクルージングしに行くときは、トレイルヘッドまでの舗装路パートも得意とする『Roam』と、履き分けています。ちなみにガチでレースに出るときは別のシューズを履きます。いろいろなシューズを試し履きして、自分の好みに合ったシューズを見つけることをぜひお勧めします。

『Roam』のカタログ重量は300g(27㎝)。

こちらはメンズ26㎝片足での実測値は276g

足型や基本的なプロポーションはSEEKと同じ。ミッドソールはやや硬めのクッショニングで、またアッパーも丈夫なメッシュ生地で硬さがあるため、初心者が下りでの安定感を求めるにはもってこい。アウトソールのラグは3mmとSEEKよりも浅めで、平坦な舗装路でも違和感少なく履け、林道などのジープ道を快適にこなす
キーンでは2026年の夏に、東京の高尾山でこれらのシューズを試せるポップアップイベントを開催。また、シューズがレンタルできる常設店舗もあるそう。百聞は一見にしかず。気になる人はチェックしてみてください。
2026年スケジュール
<ポップアップ>
開催日 : 2026年8月1日(土) 〜 10月31日(土)
開催店舗: TAKAO BASE
https://takaobc.com/access/
レンタル対象シューズ : 8月Seek 9月Roam 10月Wander(2026年7月発売)
コンテンツ : レンタルシューズ、ランニングイベント
<常設レンタルシューズ取扱い>
店舗① : &MOSH
https://andmosh.com/access.html
レンタル対象シューズ : Seek/Roam
店舗②: ITJBASE Shusenji
https://itjbase-shuzenji.com/
レンタル対象シューズ: Seek/Roam/Wander(トレイルランニングシューズ)、 Targhee Apex(ハイキングブーツ)、Newport(水陸両用サンダル)
コンテンツ : レンタルシューズ(7/16からスタート)、ランニングイベント
ハック2.余った靴紐がフラフラしない小ポケと小ワザを知っておく
枯れ枝や草木など、トレイルランでは地面近くにもさまざまな障害物があります。そのため、ごく稀にですが、結んだシューレース(靴紐)の余りの部分が引っかかって、不意にバランスを崩してしまうことも。

ループ部分が障害物に引っかかると転倒のリスクが
それ以前に、余ったシューレースが足を踏み出すたびにプラプラしていたら、森を駆け抜ける爽快感が削がれかねません。そのためのハックとして、一部のトレイルランニングシューズにはシュータンの上部に「レースガレージ」と呼ばれる小さなポケットが設けられています。
伸縮性のある素材のポケットになっているので、内部にシューレースをたくし込んでおけば、プラプラはもう気になりません。

『Seek』はシュータンの外側にレースガレージが備わっています
レースガレージのないシューズの場合はどうしたらいい? ご安心を。下の写真のように、締め上げたシューレースの下にたくし込めば、余った紐がフラフラ遊びません。ちょっとした小ワザです。

『Roam』ではシュータンの甲部分にゴムバンドが設けられており、余り紐を抑えることが可能。加えて、つま先寄りのシューレースの下にもたくし込んでおけばまずフラフラしません
余談ですが、トレイルランではアップダウンの衝撃が加わるので、またシューレースの素材の特性も手伝って、ロードよりも紐がほどけやすい傾向が。ひと手間かけて、「イアンセキュア結び」などの“ほどけにくい結び方”を覚えておくといいでしょう。

イアンセキュア結びで結んでみた例(左)と、その結び方(右)。分かりにくかったらYouTubeで「結び方動画」を検索してみてください
ハック3.バックパックのストラップを絞ると、それはもう劇的に「揺れにくい」
防寒着や補給用の飲食物、あるいは貴重品などを「背負って走る」点は、トレイルランとロードランの大きな違いです。トレイルランニング用のバックパックはまるでベストのように着る感覚で身に付けられるものが大半で、元来が揺れにくい設計になっています。それでも荷量によっては揺れが気になるケースがあるかもしれません。
そんなときに見直して欲しいのが、チェスト部分や脇下などに設けられている、フィット感を調整するためのストラップ(ドローコード)。このパーツを適切に絞ると、それまで揺れていたバックパックがウソのように揺れなくなります。お試しあれ。

チェスト部にドローコードが設けられている場合が多いです

脇下部にストラップが設けられているケースも、いずれも動きながら調整できるので、荷量に合わせてこまめに調整すると◎
ハック4.フラスクの中身が「減っても、揺れない」最終仕上げ
トレイルランではお馴染みのソフトフラスク。液量が減るにつれてコンパクトに収縮してくれるので、中身がバシャバシャしにくく、便利ですよね。
そのメリットを最大化するには、飲料を満たした後に「空気抜き」を行っておくことが大事。

空気が混じっていると揺れが生じます
やり方は簡単で、上の写真のような状態のときに気泡を飲み口側に寄せ、ひと口分吸うだけ。

空気が吸われるので、中身は飲料オンリーになります。

この状態なら絶対にシャバシャバしません
中身の飲料は水だけでなく、スポーツドリンクや麦茶など、汗で失われる電解質が含まれているものも持っておきたいところ。発汗量に応じて選ぶといいでしょう。
ミネラルを含み、後味のすっきりとした麦茶は隠れた人気ドリンク。ただしナトリウムは含まれていないので、発汗量が多い場合は合わせて塩っけのあるものを補給するとベターです。
ハック5.ジップロックを使えば荷物が汗濡れしない
バックパックを背負うと、その部分は重ね着をしているのに等しい状態になるため、発汗量が増えがち。トレイルランニング用のバックパックは汗抜けのいい生地で作られていますが、問題は中の荷物です。サイフやスマートフォンなどの貴重品、防寒着や着替え類など、濡らしたくないものがビチョビチョになるのは避けたいところ。
そのため、濡らしたくない携行品はジップロックなどの袋類に入れておきましょう。中身の整理にも繋がるので、先輩トレイルランナーの多くが実践しているハック
※ジップロックは繰り返し使えます。環境保護のためにも大切に繰り返し使おう!
ハック6.防寒シェルはバックパックの上から羽織る方が早い
山の天気は変わりやすい。だからこそ、風除けのためのウインドシェルや雨を防ぐレインジャケットなどの「羽織りもの」は、トレイルランのマストアイテム。寒さを感じたらすぐ羽織り、汗ばんできたら億劫がらずに脱ぐこと。
……と、頭で分かっていても、いざトレイルを駆けている途中にいちいちバックパックを降ろして、シェルを羽織って、再度バックパックを背負い直す一連の作業は、面倒に感じる人が大半かもしれません。

そこでシェルの羽織り方のハックを。といってもシンプルな話で、バックパックの上からシェルを羽織るだけ。こうした羽織り方に対応した、背中側にややゆとりのあるパターンのシェルを選ぶか、あるいはワンサイズ上を着用するか。サッと瞬時に羽織れるのでせっかく携行しているシェルが持ち腐れにならず、レインジャケットであればバックパック自体も雨から防げるので一石二鳥。

登山に比べ、バックパックがミニマムなサイズ感だからこそ出来るハックです。
ハック7.すれ違い時はスローダウン、立ち止まって挨拶を
ハックというよりは心掛けておくべきマナーの範疇かもしれませんが、自分以外のトレイルランナーやハイカーとすれ違う際は、同じトレイルを共有するものとして譲り合いの精神が大事です。
具体的には、幅の狭いトレイル(シングルトラックなどと呼びます)ですれ違う際は立ち止まり、「こんにちは」などと簡単な挨拶、もしくは会釈をするとともに、道を譲ります。

ルールとしては「登り優先」、すなわち下り側が立ち止まるというのが原則ですが、そこは臨機応変に。移動スピードの速いトレイルランナー側が立ち止まった方が、相手を不快にさせないという点では間違いなく好ましいです。

同様に、追い越しする際も必ずスローダウンするように。写真の冊子は日本トレイルランナーズ協会が配布している安全・マナーガイドです。一度目を通しておくといいでしょう。

こちらからPDF形式でダウンロードできます
小難しいことに触れているかもしれませんが、相手に対する思いやり、社会通念上のマナーの意識があれば無問題。山道だろうと、舗装路だろうと、狭い歩道において猛スピードですれ違ったりはしませんよね。
「自分が他者からどう見えるか」と俯瞰する視点を持つことは、ひいてはアウトドアアクティビティでの安全と快適を高めることに繋がります。
爽快さが魅力のトレイルランニングですから、進んで「いい人」になって、トレイルを気持ち良く駆け抜けましょう。
【商品紹介】
Seek
Roam

文・写真: 礒村真介(トレイルライター/ランナー)
道を走って、書く、自称「トレイルライター」。某モノ雑誌の編集者時代にギアの面白さからトレイルランニングにハマり、山の世界へ。国内外の100マイルレースで入賞経験あり。東京のトレイル&ランニングショップRun Boys! Run Girls!が運営するクラブ、ランボーズ(@rbrgtrc)ではコーチを務めている。
Instagram:@dmj006