自分に合う一足を見つけるために
すべてのシューズが、すべてのトレイルやランナーに適しているわけではありません。
ロードは平らで予測がつきやすい一方、トレイルは違います。木の根、岩、ぬかるみ、浮いた砂利、急な下り。地形は絶えず変わりつづけるので、シューズにも、さまざまな路面へ対応できる性能が求められます。トレイルランニングを始めたばかりの人も、ハイキングからランへ踏み出そうとしている人も、「良い一足」と「最高の一足」の違いを知りたい人も。買う前に押さえておきたいポイントをまとめました。
トレイルランニングシューズとは?
ロード用のランニングシューズとトレイルランニングシューズの違いは、突きつめると3つ。トラクション(グリップ力)、プロテクション、そしてスタビリティ(安定性)です。
ロードシューズは、平らで均一な路面のために最適化されています。軽量でクッション性が高く、予測できる地面からの反復的な衝撃を吸収するようにつくられています。一方、トレイルランニングシューズは、変化する地形、不安定な足場、刻々と移り変わるコンディションのためにつくられています。
トラクションは、アウトソール、なかでもラグパターンから生まれます。深くアグレッシブなラグは、ぬかるみや柔らかい土に食い込みます。浅く間隔の詰まったラグは、踏み固められた土や砂利で力を発揮します。ひとつの路面に特化したシューズもあれば、幅広いコンディションに対応できるように設計されたものもあります。
プロテクションは、アッパーとミッドソールから。補強されたアッパーは、岩や木の根から足を守ります。ミッドソールとアウトソールの間に挟まれた薄く硬い層であるロックプレートは、鋭い岩などから足裏を守ります。軽量性を損なうことなく、安心感を高める重要な構造です。
スタビリティは、フィット感とシューズ設計から生まれます。トレイルランニングシューズは、でこぼこした地面でもシューズの中で足が動かないよう、ミッドフットは比較的タイトに。一方で、前足部はワイドな設計にすることにより、下りで足指が自然に開けるようになっています。

トラクション:ラグの深さが意味するもの
すべてのトレイルで同じグリップ性能が必要になるわけではありません。4〜5mmのアグレッシブなラグを備えたシューズは、木の根が張り出し、ぬかるみが続く、走るのに技術を要する細い山道(シングルトラック)に適しています。同じシューズで固く締まった林道を走ると、硬く、足音の大きい感触になることがあります。
ロードからトレイル、砂利道まで幅広く走るなら、適度なラグの深さと耐摩耗性の高いラバーを備えたモデルがおすすめです。反対に、本格的な山岳トレイルを中心に走るなら、舗装路での快適性よりも、ラグの深さやパターンを重視するとよいでしょう。
履き心地:クッション性か、地面の感覚か
足裏にどれだけのクッションがほしいかは、好みの問題であると同時に、どこを走るかの問題でもあります。 スタックハイトと呼ばれるソールの厚みが高いほど、衝撃を吸収しやすくなり、長い距離や硬い路面でその効果を発揮します。フォームのクッション性を活かして走りたいビギナーや、長距離を走るウルトラランナーに適しています。そのぶん、地面との一体感や俊敏性はやや抑えられます。
スタックハイトが低いと、地形との距離が近くなり、テクニカルな地面での身のこなしと固有受容感覚が高まります。ちょっとマニアックな話をすると、固有受容感覚とは、足元を見ずに歩けたり、目を閉じたまま鼻の頭に触れられたりする、あの感覚のことです。経験豊富なランナーは、短く速い走りや、高度にテクニカルなルートのために、低いスタックを選ぶことが多くあります。そのかわり衝撃吸収は少なく、長い一日にはじわじわと効いてくることがあります。
ドロップとは何か、なぜ大切なのか
ヒールトゥドロップ、つまりかかととつま先の高低差は、スタックハイトと関わりつつも、別に考えたい要素です。ドロップが低いと、ミッドフットでの着地と、より自然な足の位置がうながされます。ドロップが高いとかかとが持ち上がり、長い距離では楽に感じるランナーもいます。
目安として、ロードロップのシューズはヒールトゥドロップが4mm以下、ハイドロップのシューズは8mm以上です。
フィット:トレイルでつま先のゆとり(トゥボックス)が大切な理由
平地では、つま先まわりの窮屈さは小さな問題です。けれど長い下りでは、大きな問題になりえます。下りを走るとき、足はシューズの中で前へ滑ります。トゥボックスが狭すぎると、つま先が先端に当たり、時間とともに打撲やマメの原因になります。
ゆとりのあるトゥボックスは、足指が自然に開くのを助けます。足場の悪い地面でのバランスと快適さが増し、長い下りで積み重なるストレスも減ります。サイズの中間で迷っている人や、前足部が幅広の人には、トレイルランニングシューズをハーフサイズ上げるのが定番のアドバイスです。

耐久性:長く快適に履くためのポイント
トレイルランニングは、ロードランニング以上にシューズへ負荷がかかります。ざらついた路面、岩、絶え間ない横方向の動きが、ロードよりも速くアウトソールをすり減らします。平均的なトレイルランニングシューズの寿命は、およそ480〜800km。ただしこの幅は、地形やランナーの体重、アウトソールの素材によって大きく変わります。
耐摩耗性の高いラバーアウトソールを使ったシューズは、岩の多い地形で長持ちします。業界のベンチマークに対してアウトソールの耐久性をテストするメーカーもあります。たとえばKEENのトレイルランニングシューズは、第三者機関Heeluxeの評価で、トレッドがすり減るまで925マイル、およそ1,500km。業界平均のほぼ2倍にあたる数字です。また、耐久性はアウトソールだけではありません。補強されたアッパーや高密度メッシュは、木の根や岩の多いトレイルでも優れた耐久性を発揮します。
買い替えのタイミングは、トレッドがすり減ってなめらかになったとき。ミッドソールが弾む感じを失い、つぶれて平らに感じられるとき。あるいは、いつもの距離なのに、以前より疲労を感じやすくなったときです。
防水か、通気性か
これは、どこを走るかによります。防水のトレイルランニングシューズは、構造に防水素材を組み込んで水の浸入を防ぎます。雨の多い地域や、沢を渡ることの多いトレイルでは心強い存在です。ひきかえに、熱がこもりやすく、履き口から水が入ると乾きにくくなります。KEEN独自の防水透湿素材KEEN.DRYは、水を通さずに、汗などの湿気を外へ逃がします。
防水ではない通気性のシューズは、速く乾き、涼しく、軽く感じられます。乾いた気候や、水たまりを避けて走れるトレイルなら、たいていこちらが正解です。いつも濡れるコンディションでは、防水を選ぶランナーが多くいます。
自分の走りに合う一足を見つける
一足を選ぶ前に、自分の走りを少しふり返ってみましょう。 走る地形は、どれくらいテクニカルですか。木の根が張り出したテクニカルなシングルトラックは、整備されたトレイルや林道よりも、アグレッシブなトラクションとしっかりしたプロテクションを求めます。
どれくらいの距離を走りますか。長い距離ほど、クッションが効いてきます。短く速い走りなら、低めのスタックを選ぶ余地が広がります。
トレイルランニングは初めてですか。まずは、さまざまな地形をこなせて、安定したクッションと丈夫なアウトソールを備えた、汎用性の高い一足から。自分の好みがわかってきたら、そこから専門的な一足へ進めばよいでしょう。
ひざや関節に不安はありますか。クッションが多いほど、衝撃によるストレスは一般に少なくなります。ふくらはぎやアキレス腱を痛めた経験があるなら、必要な筋力がつくまで、ロードロップのシューズには慎重に。
ロードとトレイルの両方を走りますか。両方の路面に対応できるモデルなら、最初から2足そろえる必要がなくなります。

KEENのトレイルランニングラインナップ
KEENは22年以上にわたり、<Consciously Created:地球と人にやさしいツクリカタ>の思想のもと、トレイルのための丈夫で快適なシューズをつくりつづけてきました。素材と製法を革新しながら、より軽く、より速く、そして地球への負荷はより少なく。そのトレイルのDNAと、KEENらしい耐久性と快適さをもとに、地形や走りの目的に合わせたトレイルランニングフットウェアが生まれています。
Seekは、長いトレイルランニングとレースのための一足。QuantumFoamXのミッドソールが、柔らかな履き心地と力強いエネルギーリターンを両立し、4mmの高耐摩耗ラバーアウトソールが、距離を重ねても衰えない耐久性を発揮します。
Roamは、砂利道、土、ロードをまたいで走るランナーのための、適応力のある一足。QuantumFoamミッドソールがクッション性・反発性・耐久性のバランスをとり、トレッドパターンはトレイルでのグリップとロードでの耐摩耗性の両方に最適化されています。KEEN.DRYを搭載した防水モデルもラインナップしています。
Wanderは、よりテクニカルなトレイルを、足裏で感じながら走る一足。低いスタックのKEEN.ReGENXミッドソールと4分の3レングスのロックプレートが、地面との近さと、必要な場所のプロテクションを両立します。さらにミッドソールには、生分解を促進する技術EcoEndを採用。シューズの役目を終えた後、従来は数百年かかるとされる分解プロセスを、数年単位へと短縮することを目指した技術です。KEENは、製品ライフサイクル全体を見据えたものづくりを進めています。
まとめ
最適なトレイルランニングシューズは、走るフィールド・走行距離・求める走りによって異なります。グリップ力、クッション性、フィット感、耐久性はどれも重要ですが、大切なのは自分に合ったバランスを選ぶことです。まずは、自分がどんな場所を、どのように走りたいのかを考えてみましょう。そうすれば、自分にぴったりの一足が自然と見えてくるはずです。
よくある質問
トレイルランニングシューズは、ロード用と何が違いますか?
トレイルランニングシューズは、自然の中の変化に富んだ路面に対応するためにつくられています。グリップ力の高いアウトソール、岩や木の根から足を守るプロテクション、そして不整地でも安定した走りを支えるフィット感が特徴です。一方、ロードランニングシューズは、なめらかな路面での反復的な衝撃に備えた、軽量なクッション性を重視しています。
初心者は何を基準に選べばいいですか?
安定したクッション性、丈夫なアウトソール、地形を選ばない汎用性。この3つが、いちばん役に立つ出発点です。中程度のスタックハイトと、無理のないフィットなら、走りながら自分の好みをじっくり見きわめられます。
トレイルランニングシューズは防水を選ぶべきですか?
どこを走るかによります。防水シューズは水の浸入を防ぎますが、熱がこもりやすく、乾きは遅め。通気性のシューズは涼しくて軽い反面、濡れた状況では足をドライに保てません。雨の多い地域や沢渡りの多いコースでは、防水を検討する価値があります。乾燥した環境では、軽量で通気性に優れた非防水モデルの方が快適な場合もあります。
トレイルランニングシューズの寿命はどれくらいですか?
多くの場合、およそ480〜800kmです。路面状況や走行距離、ランナーの体格などによって変わります。買い替えのサインは、アウトソールのラグがすり減ってなめらかになったとき、ミッドソールが弾まずに平らに感じるとき、同じ距離なのに以前より疲労を感じやすくなったときです。
トレイルランニングシューズで舗装路を走ってもいいですか?
はい。ロードとトレイルの両方を走ることを想定したモデルであれば、舗装路でも快適に使用できます。ただし、ラグが深くアグレッシブなパターンは、舗装路では硬く感じられ、すり減りも速くなります。ロードとトレイルを日常的にまたぐなら、中程度のラグの深さと、舗装路に強いラバーのシューズを選びましょう。
