三百万年の友だちに、もう一度会いに。 -OLD FRIENDS IN AMAMI、再始動-
August 03, 2026Aug 03, 2026文: Rika
living outside
この夏、KEENは奄美大島の生き物たちを描いたチャリティTシャツ「OLD FRIENDS IN AMAMI」を発売します。2022年にスタートした本プロジェクトは、今年で第3弾を迎えます。
グラフィックを手がけるのは、KEENの長年のパートナーである絵画作家ユニット、「Gravityfree」。アマミノクロウサギ、ルリカケス、オーストンオオアカゲラ、オカヤドカリ、ハブなど、奄美に息づく固有種や絶滅危惧種をモチーフにしたアートワークが描かれています。

Tシャツの売上の10%は「奄美野生生物保護基金」に寄付され、怪我をした野生動物の治療や飼育、餌やケージの購入、事故を防ぐための普及啓発など、野生生物を保護する活動に役立てられます。

奄美大島は、2021年7月26日、徳之島、沖縄島北部、西表島とともに世界自然遺産に登録されました。鹿児島本土と沖縄の中間に位置し、周囲は約460km、面積は約712㎢。沖縄本島、佐渡島に次いで国内で3番目に大きな離島です。

アマミノクロウサギをはじめ、世界でもこの地域にしか生息しない固有種が数多く暮らす島。その豊かな生態系を、どう知り、どう守っていくのか。 今回は、このコラボレーションに奄美側から携わる、アウトドアウェアブランド「devadurga」代表の島崎仁志さんにお話を伺いました。島崎さんは、大島紬の染色技法である泥染めをテーマにした服づくりで知られ、奄美大島初のキャンプフェスティバル「結ノ島CAMP」を立ち上げた人物でもあります。一度は島を離れ、外のカルチャーを見て、また奄美へ戻ってきた一人。その言葉からは、自然だけではない、島の人や文化へのまなざしも見えてきました。
島に十年、通いつづけて
「昔から親交のあるGravityfreeのお二人にデザインしてもらえるのは、うちとしてもすごく嬉しくて。第1弾、第2弾と手がけていただいたので、第3弾も自然な流れでお願いできるかなと思っていました」。

島崎さんはそう話します。
Gravityfreeは、10年以上にわたって奄美大島に通い続けてきた絵画作家ユニット。島の自然や動植物、そしてこのプロジェクトに込められた思いを知っている存在だからこそ、今回のアートワークにも自然な説得力があります。「Gravityfree自体が、もう10年以上、奄美に通っているんです。だからこちらの思いや、奄美の動植物のこともよく把握してくれている。今回のデザインも、すごくまとまっていると思います」。 今回のデザインでは、奄美の森を形づくるヘゴの木を中心に、その周りを、奄美を象徴する瑠璃色の羽を持つルリカケスをはじめ、アマミノクロウサギ、オーストンオオアカゲラ、オカヤドカリなどの生き物たちが描かれています。

2色で表現したグラフィックにより、Gravityfreeらしい色使いや世界観が、より前面に出ていることも特徴です。 奄美の生き物たちを知る入口として、思わず手に取りたくなるポップなグラフィック。その奥には、島の自然や生き物たちへの深い理解があります。
“オールドフレンズ”と呼ぶ理由
デザインのテーマは「OLD FRIENDS」。それは、奄美の生物多様性を支えてきた、昔からこの島に暮らす生き物たちのことです。

「奄美の生物多様性、昔からいる生き物たちのことを指しています。第1弾には人間も描かれていて、人と動物が触れ合うニュアンスだったんですが、第2弾からは、昔からいる動植物のことを“OLD FRIENDS”と呼んでデザインしています」。 デザインに描かれているアマミノクロウサギは、奄美を代表する固有種。三百万年、姿形を変えていない生き物です。奄美が中国大陸と陸続きだった頃から、切り離されてそのまま孤立したので、進化もせずに、当時のままの形でいると言われています。 その存在は、奄美大島の自然がどれほど長い時間をかけて守られてきたのかを物語っています。「OLD FRIENDS」という言葉には、単なるかわいらしさだけではなく、島に昔から息づいてきた生き物たちへの敬意も込められています。一枚のTシャツに描かれた生き物たちをたどっていくと、奄美という島が育んできた時間の長さや、生態系の奥深さが少しずつ見えてきます。
嫌われ者が、島を守る
描かれた生き物の中には、ハブの姿もあります。
ヘビが苦手な人にとっては、少し身構えてしまうモチーフかもしれません。けれど、奄美の自然を語るうえで、ハブは欠かすことのできない存在です。

「ヘビが苦手なお客さんもいて、可愛いタッチで描いても『嫌だ』と購入を避ける方もいます。でも奄美のハブは、生態系のピラミッドの頂点に常に君臨している生き物。ハブがいるから、人が無闇に山に入らない。それで奄美の生態系が守られているんです。だから外してしまうと、バランスが崩れてしまう」。 怖い生き物、危険な生き物としてだけではなく、島の自然のバランスを支える存在としてハブを見ること。それも、このTシャツが伝えてくれる視点のひとつです。 頂点にいながら、島を支えている。 デザインの中でどっしりと構えるハブの姿は、奄美という場所の複雑で豊かなバランスを象徴しているようにも見えます。
島に、いのちが戻ってきた
近年、奄美の固有種の個体数は回復傾向にあります。その背景には、長い年月をかけた取り組みがありました。 「以前、ハブを退治するために放したマングースが、二十年近くで一万頭まで増えてしまって。ところがハブではなく、アマミノクロウサギを食べていたんです」。 外来種であるマングースは、アマミノクロウサギをはじめとする希少な生き物たちに大きな影響を与えていました。その後、環境省の取り組みのもと、マングースを捕獲するチーム「マングースバスターズ」が活動を続け、奄美大島ではマングースの根絶が宣言されました。 「島ひとつからの根絶は世界的にも珍しく、海外から視察に来るほどでした。おかげで、オオトラツグミやアマミヤマシギ、アマミノクロウサギの個体数も、いま増えています」。いのちが戻ってきた島。 その回復の裏側には、人の手による地道な保護活動があります。
夜の道で、気をつけたいこと
うれしい変化の一方で、新たな課題も生まれています。 そのひとつが、夜行性のアマミノクロウサギのロードキルです。個体数が増えたことで、道路上で事故に遭うケースも増えているといいます。

「個体数が増えた分、クロウサギのロードキルも増えているんです。外敵から身を守るために、見晴らしのいい開けた場所で用を足す習性があって、しかも夜行性。だから道路で事故に遭いやすい。夜間の運転には、ぜひ気をつけてほしいです」。 万が一、野生動物との事故が起きてしまった場合でも、早急に対応することで助かる命があります。奄美を訪れる人にとって、自然を楽しむことと同じくらい、その自然の中で暮らす生き物たちへの配慮を知ることが大切です。 森に入る際にも注意が必要です。 「ハブも夜行性なので、森に入るときはガイドと一緒に。金作原のように、認定ガイドがいないと入れない森もあります。安全に、奄美の自然を楽しんでもらえたら」。 奄美を旅することは、そこに暮らす生き物たちの場所へ入っていくことでもあります。美しい自然を楽しむだけでなく、その自然を守るためにどうふるまうかを知ること。それも、旅の大切な一部です。
結(ゆい)という、島の言葉
奄美の魅力は、自然だけではないと島崎さんは言います。 「世界自然遺産に登録されたとき、評価されたのは自然だけじゃないんです。自然を利用しながら生きてきた人たちの文化──『環境文化型』と呼ばれるものが、島に残っている」。 奄美には、八月踊りをはじめとする伝統文化があります。島崎さんの言葉に何度も出てきたのは、自然だけでなく「人」の魅力でした。 「人と人の距離がすごく近い。最初はシャイなんですが、一度知り合うと、もう親戚みたいな距離感で寄り添ってくれる。自然の魅力もありつつ、人の魅力もある。それが奄美大島のいいところだと思います」。島崎さんが立ち上げた「結ノ島CAMP」の「結」も、人と人がつながり、助け合う心を表す島の言葉です。

自然と人の結。人と人の結。 一度島を出た若者が、また戻ってきて、それぞれのやり方で奄美をおもしろがり、発信している。島唄を現代的にアレンジしたり、自分たちの手でイベントを立ち上げたり。そんな循環も、いまの奄美には生まれています。 自然に惹かれて訪れた人が、いつの間にか人の魅力に惹かれて、また島へ戻ってくる。 奄美を知ることは、そこにある森や海だけでなく、人と文化のあたたかさに触れることでもあるのかもしれません。
島へ還って、服をつくる
島崎さん自身も、一度は奄美を離れ、外の文化に触れたあと、再び島へ戻ってきた一人です。 現在は、奄美大島に伝わる泥染めをテーマにしたアウトドアウェアブランド「devadurga」を手がけています。泥染めは、大島紬の生産工程のひとつでもある、奄美の伝統的な染色法です。

島崎さんにとって、服づくりは自然や文化と切り離せないもの。自然があるからこそ生まれる色や手仕事を、現代のアウトドアウェアとして届けています。 伝統をそのまま残すだけでなく、いまの感覚で身につけられるものへと変えていくこと。 今回の「OLD FRIENDS IN AMAMI」もまた、奄美の自然や生き物たちを、Tシャツという身近な入口から知ってもらうためのプロジェクトです。
着ることは、守ること
今回のTシャツは、第1弾、第2弾とは異なるボディを採用。オーガニックコットンとリサイクルポリエステルの素材で、肌ざわりよく仕上がっています。カラーは、ホワイトとブラックの2色をご用意しています。 そして、売上の10%が「奄美野生生物保護基金」へ寄付されます。寄付金は、ロードキルで傷ついた動物たちの治療や、餌・ケージの購入、事故を防ぐための普及啓発活動などに役立てられます。 「固有種や絶滅危惧種が豊富な島なので、このTシャツを着て奄美を散策する高揚感を味わってほしい。そして東京に戻ってからも、思い出として残るような一枚になってくれたら嬉しいです」。 描かれているのは、ただのモチーフではありません。 三百万年を生きてきた、島の古い友だち。 森の中で島を支えるハブ。 鮮やかな羽を持つルリカケス。 夜の道に現れるアマミノクロウサギ。 着ることが、知ることにつながる。 知ることが、守ることにつながる。 三百万年の友だちの背中をそっと連れて歩くような一枚を、この夏、奄美から。
OLD FRIENDS IN AMAMI 第3弾


商品名:AMAMI OC/RP FRIENDS TEE
発売日:店頭発売:2026年8月1日(土)KEEN公式オンラインストア:2026年8月3日(月)
販売場所:frat(奄美大島世界遺産センター内ショップ)/ KEEN公式オンラインストア
価格:7,150円(税込)
商品番号:1033295(WHITE)、1033296(BLACK)
サイズ:S、M、L、XL
※fratの店頭にてご購入の際には、グラフィックステッカーをプレゼントします。 ※KEENの直営店では販売しませんので、ご注意ください。
frat(奄美大島世界遺産センター内ショップ)

frat営業時間:9:30~16:30
休館日:木曜、年末年始(12月29日~1月3日)
住所:鹿児島県奄美市住用町石原467-1
TEL:0997-69-2281